「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、時計、ガラス製品など多数品揃え。石油機器技術管理士の店主が石油ストーブの整備・修理も承ります。猫を連れてのご来店大歓迎です。
DATE: 2010/09/24(金)   CATEGORY: 雑文
満110歳
よく、「アンティークと古道具の違いってなんですか?」と聞かれますが、基本的には100年がめどになっていて、製造後100年を経過したものはアンティークと呼ばれます。

なぜ、この期間が100年なのかというと、おおよその人が100年以内の寿命であるからでしょう。80年前のものです、というと、「ああ、これなら小さい頃に使っていた」というご年配の方々がまわりにもぽつぽついますが、100年まえとなるとなかなか当時のことを今現在はっきりと思い出して語ることができる人が少ないので、おのずとその出自は遠く思われ、若い世代の人には未知のものとなってしまいます。古いけれど新しい。

昨今は高齢の人が一体どこにいるやらわからないという不可思議な事態が全国で頻発していますが、いまや高齢者は家族から切り離されつつあります。こけしが子供のころなど、友達の家に遊びに行くと、たいていその家の部屋の内のひと間には、じいさんやばあさんがふせっている部屋がありました。友達に「あ、その部屋はじいちゃんが寝てるから開けないで」と言われたけれど間に合わなくって勢い良く開けたふすまの向こうに、ぽっかりと口を開けて仰向けにじいさんが横たわっていてギョッとしたことも懐かしく思い出されます。

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何の変哲もない竹の物差し。でも今年で満110歳。

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なぜに年齢がわかるかというと、裏面に「明治33年9月24日蓑原スマ所有」と書いてあるからです。30年くらい前までは自分の持ち物にはほとんど名前を書いたものです。パンツなどの下着や傘や靴など自分のものというものには大抵書きました。同じものがたくさん集まる学校に行く子供たちだけでなく大人もみな自分の所有物には名前を書くというのは当たり前でした。最近ではそんなことしている人はほとんど見かけませんね。日用品は何でも安価に簡単に手に入る世の中ですので、なくなったらまた買えばいいという考えが前提にあるのでしょうけど、名前を書くという行為は、そのもの自体が自分の一部になったような気持がしてどんなものでも少し大事に扱いたくなるものです。とてもよい習慣を生む行為なのでぜひとも励行したいものです。

明治33年というと西暦1900年。持ち主がなくなった後も、廃棄される憂き目をのがれ、誰かの手で道具としての役割を果たし続けていくことのおもしろさが古道具の醍醐味だと思います。物差しさん110歳のお誕生日おめでとう。
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