「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、時計、ガラス製品など多数品揃え。石油機器技術管理士の店主が石油ストーブの整備・修理も承ります。猫を連れてのご来店大歓迎です。
福岡の土鈴
「土鈴まつり」連日前夜祭といたしまして、本日よりおすすめ土鈴を少しづつご紹介してまいりたいと思います。


土鈴収集にブームがあったことをご存じの方も少ないかもしれません。第一次土鈴ブームとしましては大正10年頃、第2次が昭和初期?10年ごろ、その後戦争の激化により土鈴どころではなくなってしまうわけですが、それでも戦後少しづつ庶民の生活が立ち直って来てから第3次土鈴ブームが昭和27年ごろから今度は長くて昭和40年ごろをピークに昭和50年ごろにもまだ収集熱はあったようです。

以外に由緒あるものなんだな、というのが一般的な感想ではないでしょうか。立ち返りまして、そもそも「土鈴」とは何ぞやという素朴な質問に答えるならば、「土でできた鈴」です。もともとはその音色によって魔を払うものとしての意味合いがあるようです。現在の土鈴は神社仏閣で授与される「授与鈴」とお土産物屋などで買うことができる「観光土鈴」に大別されます。

もっとも古いものとしては縄文の昔から土鈴は存在したようですし、素焼きにほんの少し彩色された埴鈴(はにすず)は、ほとんど弥生時代のものと類似の形です。「田川の英彦山ガラガラ」などもその典型ですが、そのような土鈴が当たり前にこの平成の世のあちこちの家の軒先につるされている光景は感慨深いものがあります。



前置きが長くなりましたが、まずは地場の九州、福岡県の土鈴からご紹介したいと思います。


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これらの土鈴はただの鈴、土鈴の原型に近いものたちです。


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先ほど申し上げました「英彦山ガラガラ」をご存じない方でも、見ればあ?、知ってる!という方が大半ではないでしょうか。これは肥後のミニ下駄も絡んだ豪華バージョン。アレンジも自在です。

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英彦山ガラガラは、彩色が赤と青の2色ですが、これは5色鈴。古くて文字が判別しづらいのですが、「甲府の5色鈴」でしょうか。

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英彦山は山伏の三大修験道としても有名です。ひとつ玉の天狗鈴もあります。

文武天皇の慶雲2年(西暦705年)に日照りで国中田畑がやられたと聞いて、天皇は英彦山に使いを出し、祈願すると霊験立ちどころに現れ、日照りが解消した。このお礼に鈴を奉納したが、文治5年(1189年)に戦乱で火災を避けこの鈴を土中に埋めたが、のちにその所在が不明に。そこで肥前中原の城主に複製を作らせ、それを参詣者に分け与えたのが英彦山土鈴の始まりだと言われています。

蛇足ついでに、「英彦山ガラガラ踊り」というものもあるようです。

♪英彦山ガラガラ ガラガラ鈴は
 魔除け 虫除け 男除け ホラセ
 娘年頃 英彦山詣で 
 鈴を眺めて思案顔 ホラセ   ♪

作詞はなんと野坂昭如。田川出身の夫はこんな踊り見たことも聞いたこともないと言っておりますけど、本当にあるんでしょうか? 




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博多にちなんだ土鈴いろいろ。

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志賀島の「国宝金印土鈴」

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「博多二輪加面土鈴」どんたくの時にやっている、あの博多にわかです。

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「献上博多帯土鈴」の裏面。貝の口の男結びでキリリと粋です。

以上3点は博多土鈴ですが、井上博秀さん作の博秀土鈴です。

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櫛田神社で授与される「博多祇園山笠土鈴」。↑の集合写真の後ろ側にあるのは古色がついていて判別しづらいのですが黒っぽいのは一部小倉の山車土鈴にも思えます。

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気味が悪いけど、上手いよ。おそらく博多土鈴の「似顔絵土鈴」。

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高橋さんと一平さん。作った人の名前じゃなくて、この顔の人のなまえでしょうか。きっと似てるんだろうなと思わせる力があります。





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「抜折羅(ばきら)土鈴」。こういうのって別に土鈴好きでなくても魅力を感じるのではないでしょうか。見るだけで美しい。

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抜折羅とは、新薬師寺の十二神将のひとつ。迫力満点の博多土鈴です。

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太宰府は宝満山の竈門(かまど)神社の「宝満いなり土鈴」。顔が微妙に異なって手作り感満載です。





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そして福岡には立派な神社も多くあります。

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箱崎骨董市へ出かけたときに、お参りしてますか?本殿の上のほうにかかってますね。「敵国降伏」。意外とハトがキュートです。八幡様は戦いの神様なのに、平和のシンボルであるハトを使った土鈴が多いのは不思議です。

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「神馬鈴」。可愛い子馬さんたちです。

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そして箱崎宮は、サルものも多い。「三猿鈴」。

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小島与一作と思しき、香椎宮の「魔除獅子鈴」。


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宗像大社の授与鈴「翁面」。なぜ能面なのかというと、昔、鐘崎の岬沖から鐘を引き上げようとしたら、鐘は揚がらず、そのかわりに翁面が海中より浮き上がったとされる「沈鐘伝説」が伝わっており、この伝説に基き浮かび上がった面をつけて舞を奉納する「翁舞」という行事が毎年秋季大祭におこなわれているからです。

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郷土玩具の世界でも「太宰府のうそ」は有名です。

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「太宰府のうそ土鈴」たち。「うそ」というのは鳥です。1月7日の「うそ替えの神事」に木彫りのうそ人形が授与されます。土鈴はいつでも社務所で買えるんじゃないかな?大阪や京都、東京にも天満宮は数ありますが、各地に存在する鷽(うそ)替えの神事中もっとも古き歴史を有するもので、太宰府村大弐菅原輔正公によってはじめられたと伝えられ…とあります。全国的にうその土鈴はありますが、由緒があるといえるのではないでしょうか。

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よくみると蛇が巻きついておりますが、これも太宰府天満宮の授与鈴。

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一見英彦山土鈴風ですが、鈴に太宰府の梅が型押ししてあって意外と凝った造りの授与鈴。

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このむくむくして可愛らしいのは箱崎宮の鈴。これも鳩なんでしょうか。

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見るからに古めかしい、太宰府天満宮の牛土鈴。素朴な質感でずっしり重いです。





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敵国降伏、といえば元寇。子どもの頃、元寇防塁跡とか見せられても何の感慨もなかったですが、この兜のような土鈴、「元寇土鈴」といっても差し支えないでしょう。

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左のヘルメットのような土鈴の裏には「博多、元寇冑、弘安4年」と読めるようです。

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右のは「元軍」?

箱崎宮の授与鈴ではないようですが、朴訥な作りで魅力があります。


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福岡市内にお住まいの方でも野村望東尼山荘跡をご存じない方もいらっしゃるでしょう。去年までは草ぼうぼうで建物も崩壊寸前のような趣でしたが、何とか予算がおりて今年、山荘の藁ぶき屋根の改修工事が行われました。観光地でもないし、もちろん売店など何もないのでこんな「望東尼土鈴」があるなんて!驚きました。


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これも良く出来ている。それもそのはず、博多人形の古風な姿を色濃く残す、宗像の「津屋崎人形」の土鈴です。

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秀吉と清正。似ているんでしょうか?



少し遠出してみましょう。

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小倉といえば…森鴎外。昭和37年に勝山公園の紫川のほとりに立てられた六角柱の鴎外文学記念碑を模した土鈴。

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また、小倉には「小倉土鈴」があります。これは先代の白石喜平さん(昭和46年没)作の「河童土鈴」だとおもわれます。「音の喜平」と呼ばれるだけあって、軽やかで良く響く鈴の音がします。

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柳川の土鈴、2種。

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小さな小さな鈴。これくらいなら根付にしても可愛らしいですね。





そして最後に1点。
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三角形で、ライトのようなもの。

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ピッケルのようなもの。

三角は山を表しているのでしょうか。炭鉱に関する土鈴のようにおもいますが、資料がなくわかりません。モダンでグッドデザインだとおもいます。

以上、主だった福岡県の土鈴をご紹介してみましたが、わたくし個人は土鈴収集家ではないので知識も乏しく、間違い、見当違い等あるかと思いますが、土鈴好きの方々のお目にとまりましたらどうぞご指摘くださいませ。次は佐賀、長崎、熊本の土鈴をご紹介します。
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