「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、器、石油ストーブ、思いもよらぬモノ、など多数品揃え。商品の入荷案内を中心に古いものにまつわる話あれこれ綴ります…。猫を連れてのご来店大歓迎です。
DATE: 2010/03/14(日)   CATEGORY: 雑文
春雨
福岡は今日、桜が開花したそうです。ふと気づくと音もなく霧雨が降っていたりしてとても春らしいお天気です。ぼんやりしたお天気で気分がふさいでしまうという人も多いのかもしれませんが、やわらかな霧雨はまるで上質な羽二重のようにしっとりしていて、個人的にはこの時期のこんなお天気が好きです。


そんなことを思ったのも、今朝がた見た夢の中で踊りの師匠(お稽古はもうだいぶ前に辞めてしまったけれど)が「最近の若い人は雨の日の着物を厭う人が多いものね」と淋しげに仰ったことが頭の中に残っていたので。

たしかに雨の日の和服の支度は荷物が増えたり面倒が多いのですけれど、それはそれで雨の日にしか纏うことのできない楽しみでもあるので、考え方の問題ですね。既製品でなく好みの布で誂えた雨ゴートならさっと羽織るだけで雨から守られます。既製品では難しい着丈の問題も襟の形も道中着型や道行型などお好みですし、元々雨に強い大島紬や、生地は良いけれど着物として着るには地味すぎるような紬なども撥水加工を施して仕立てればバリエーションは無限大です。下に着る着物に合わせて雨ゴートだけでも何着も誂えたいくらいです。

傘は番傘が一番美しいと思いますが、どこにでも売ってあるものではありませんしちょっと街中で目立ってしまうのは否めませんので、洋傘でも上質なものであれば良いと思います。これは別の元芸妓のお姉さんが仰っていたことですが「踊りのお師匠さんの集まりでも、男の人のほうがしぐさがキレイ。傘をそっと畳んでしずくを斜めにササッと振って誠に上品なのよ。打って変わって女の人は傘もバサッと閉じてそのまま傘立てにポン、よ。」同じ雨の日の傘の扱いでも傘の雫の一滴までも気を配り美しく振舞うことのほうが大事ですね。


また足元は日和下駄につける爪皮も、昨今多いビニール製のものでなくきちんと作られた革製のものだと、雨にぬれたときの美しさは格別です。これも雨ゴートに合わせて付け替えれば装う気持ちが晴々とします。


普段からセンスがいいなと思っているお姉さんを見ていると、雨の日の支度も抜かりなくいろんな工夫がこらしてあったりして勉強になります。何事も積極的にたのしむ心が大事なのだなぁと思う今日この頃。
関連記事
page top
Copyright © 「古道具のささや」. all rights reserved. ページの先頭へ