「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、時計、ガラス製品など多数品揃え。石油機器技術管理士の店主が石油ストーブの整備・修理も承ります。猫を連れてのご来店大歓迎です。
DATE: 2009/05/15(金)   CATEGORY: 雑文
帯道楽のすすめ
今日は個人的な帯の話です。興味のない方はどうぞ読み飛ばしてくださいませ。



日本女性はきものを着るとすべからく美しく見えると思うのはわたくしだけではないと思うのですが、ひとくちにきものと申しましても、柔らかものと織の着物に大別されます。群ようこさんも証言しておられますが、男性は圧倒的に柔らかいきものが好きですね。ただし、その人に似合う、似合わないといった判断基準ですときっぱりとわかれます。

岩井志摩子さんの小説によく出てくる、「こしらえ映えのする女」というのと、広末涼子さんのように「地味にすればするほど美しく輝く女」です。前者は振袖、訪問着など縮緬、綸子がこよなく顔映りしますが、後者は美しく装うほど大人数の着物女性の中に入るとどうしても埋没しがちです。そのかわり、紺絣など着せると、ハッとするほど美しいです。吉永小百合さんなどは両方が似合う稀有な方だと思います。

前者はいいのですよ、思う存分華やかな着物を着て周りの羨望を集めて。問題になるのは後者の地味なほうが映える女のほうです。いわゆる現代風な都会的な着こなし、というのもいいのですが、誰もが森田空美さんのコーディネートが似合うとも限りません。前置きが長くなりましたが、そこで提案したいのが、帯。地味な織の着物に映える、少し華やかで個性的な帯を合わせることです。


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先日出来上がってきた帯5本ですが、これはいずれも古い帯を仕立て直したものです。

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これは染めの丸帯ですが、引き抜き帯になってまして、普通に締めるとお太鼓の柄が逆さまになるんですね。そこで、通常の名古屋帯にして柄が上向きに出るように切って継いで直してあります。かなり古いもので解いてみると柄の部分の布地が弱っていたんですけど、裏打ちをして強度を持たせてあります。


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こちらは、開きの仕立ての帯(芯がむき出しになっている状態)だったのを、名古屋帯に。

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佐賀錦で蝶々が織りだしてある美しい帯です。

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裏面は、表地に見合う色の布を帯業者の方見つくろってがつけてくれます。

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これは古い古い更紗です。明治生まれの方が後年に使っておられたため、締めやすいように切って作り帯になっていました。作り帯は簡単に締められていいように思いますが、お太鼓の形など自分好みにできないなどの理由で名古屋帯のほうを好む方も多いですね。私もその手合いなので作り帯を名古屋帯に作りなおしました。

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いったん切ってしまったものを長くするなんて無理なようですが、締めたときに見えない部分にうまく継いで(ハギを入れる、といいますね)もらえば名古屋帯に戻ります。これも足りない部分は見合う色の木綿布を見つくろってつけてくれます。

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こちらも同じく作り帯にしてあった綸子の帯。赤い部分がたれ先、お太鼓に見えるように形作られていました。が、ちょっと派手なので白地の部分を生かして、たれ先、お太鼓、前柄部分に白い部分が多く見えるように名古屋帯で仕立ててもらいました。

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これはたれ先のちょっと上、ちょうどお太鼓にすると織り込んでしまうため見えない部分ですが、ここにハギが入ってます。よくよく見ないとわからないでしょう?

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これは腹合わせの袋帯です。袋帯は芯を入れないほうが柔らかく締めやすいというのもありますが、これは裏が繻子で柔らかい帯ですので、芯を入れました。古い帯にありがちな幅、長さともに足りないものでしたので両方を出してあります。古い帯で長さの足りないものは解いてみると意外と縫いこみが入っていたりするので別布を継がなくてもよい場合があります。

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通常繻子の腹合わせ(昼夜)帯は繻子地が無地のことが多いのですが、これは表面と同じく龍の柄がお太鼓柄に点々とあるので両面締められる帯です。


以上参考までに掲載してみましたが、これらすべてそのままでは着用が難しかったものたちです。専門に帯のお仕立てをする業者さんもたくさんあり、今はインターネットでいろいろ検索できますからね。お手持ちの古い帯、柄が気に入っているけど締められないという帯がありましたら是非お仕立て直しをおすすめします。古いものには今のものにはない面白い色、柄のものがたくさんありますし、アンティークならば他人と同じというのはほぼあり得ませんからね。また、若い女性が無地の紬など地味なものを着ている際にご年配の婦人から発せられる「アラー、あなた地味ねー」という嫌味を封じることもできるでしょう。

そんな古い帯なんか持ってない、という方は骨董市で探すのもいいでしょうね。
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これは面白いウズラ柄の帯ですが、箱崎の骨董市で2000円で購入したものです。名古屋帯だったのですが、古い帯にありがちな芯と帯地がずれてヨボヨボな状態でしたので、芯を入れ替えたら見違えるほど美しくなりました。

帯ならば仕立て直しも5000円くらいからでできる業者もありますから、いろいろお探しになるのも楽しいでしょう。着物を仕立て直すのには数万円かかりますが、帯だと手頃です。ささやかな贅沢ですもの。皆さんも帯道楽、いかがでしょうか?

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