「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、器、石油ストーブ、思いもよらぬモノ、など多数品揃え。商品の入荷案内を中心に古いものにまつわる話あれこれ綴ります…。猫を連れてのご来店大歓迎です。
DATE: 2015/11/11(水)   CATEGORY: お知らせ
第5回「漆器まつり」開催のお知らせ

下記日程で2年振りの「漆器まつり」を 開催いたします。今回はほぼすべての商品が木製漆器です。特に輪島塗の重箱が充実しております。毎日使えるシンプルな器から、お正月など晴れの日の什器まで、古道具ならではのお求めやすい価格にてご提供いたします。毎年恒例だと思っていた方もいらっしゃるでしょうが、今後は不定期開催となりますので、この機会をお見逃しなく…

   第5回『漆器まつり』

期間 12月5日(土)から13日(日)まで

場所 古道具のささや
   福岡市中央区平尾1−12−2
   (期間中も月曜定休)

電話 092−531−4373
   (午後2時より8時迄)





少し長くなりますが、これまでたくさんの漆器を扱ってきて思ったことを書いておきたいと思います。暇な人は読んでね…


数年前の暮しの手帖で、商品テストのような記事がありました。いわゆるニセモノの漆器とホンモノの漆器は実際に使ってみて何が違うのか、というテストです。ホンモノというのは、素地が木製、上塗りが天然漆。ニセモノはおもにプラスチック木粉を固めた樹脂製の素地にウレタン塗料などを塗ったもの。結果から言いますと、使い勝手に関しては、違いは無しです。ともに汁椀だと中身の料理の保温性も変わらず、食洗機にも耐え、昔はプラスチック素地は不自然に重いか軽いかのどちらかが多かったのですが今はいろいろ研究がなされて持っただけでは見分けがつかないほど木製の素地に似ているものがたくさんあります。

唯一違うのが、価格ですね。汁椀一つとっても、ニセモノなら数百円です。ホンモノならこれもピンキリですが最低でも4000円くらいはすると思います。原材料費、作る人の手間賃の差です。

私個人の意見は、汁椀ならきちんと作っている人の顔が見える工房のもので一客15000円くらいするものを長く使うのが一番良いと思います。それだけの仕事がしてあるものなら、決して高くはありません。適正なものの値段です。輪島塗の重箱なら無地のもので15万円くらいだと一般家庭でも十分な品質のものが買えると思います。もう少し見栄えが良いものをという方は30から50万くらいの蒔絵などが入ったものをお求めになればいいと思います。

ただ、一般的にはなるだけ安くて良いものをというのが本音でしょう。百貨店には1万円台の重箱もあります。合成漆器ですが、素地が樹脂、塗りがウレタンなど合成塗料のものが一番安価です。その塗料で健康不安があるというのなら素地が樹脂で上塗りだけ天然漆のものも安価であります。

問題は、購入する側の意識だと思います。第一に、漆器を買おうとするのに、漆器に関して知らなすぎる人が多いです。正確に言えば、漆器はホンモノとニセモノではなく、木製漆器と合成漆器に分類されるだけです。市場に出る際にどの程度の価格帯で販売するかによって原材料が変わっているのです。第二に、漆器は強いあるいは繊細なので扱いづらいというような漆器に関する思い込みを持っている人が多いです。日常に漆器を使わない人に限ってこういった思い込みを持っている人が多いようです。漆器は堅牢な器ですが、毎日使えば小傷も入りますし、落とせば割れることもあります。ただし大事に使えば世代を超えて長く使うこともできます。漆器は、使う人によって強くもあり弱くもある。使う人の人柄をそのまま映し出す器だと言えます。そして漆器は、陶磁器と違って見た目だけでは判断できないものだと思ってください。

ここで一つ例を見ていただこうと思います。

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非常にポップな柄の椀です。高台の部分もかなり薄く重量もびっくりするくらいの軽さです。大半の方はこれをプラスチックの椀だと思うでしょう。
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この椀を割ってみた断面図です。完全な木製素地。高台の部分をこれだけ薄く削るには非常に高い技術が必要とされます。
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そして、一番端の部分をよく見ていただけるとわかりますが、繊維状のものが見えます。一番かけやすい端の部分に補強の布をかぶせるわけです。これが、輪島塗などで見かける「布着せ」の意味です。




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そしてもう一点、これは別の椀の蓋ですが、輪島塗りの非常に豪華な金蒔絵の絵が描いてある椀です。椀の木地自体はとても丁寧な作りです。
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ただし、同じく端の部分をみると、布着せはありません。木の上に漆を薄く塗っただけの状態です。おまけに上の写真をよく見るとわかりますが、割れやすい椀の端ではなく、ドーム状になった部分だけに繊維状の布が見えます。ここに布を着せておくと、漆を塗った後でもうっすらと布目が見えるんですね。そうすると、ああこれは布着せの丁寧な仕事がしてある器だ、と思うわけです。でも肝心な部分には何もしてない。こうした購入者を欺くような商品が「布着せ本堅地の輪島塗」として高価な値段で売られているわけです。


もはや見た目だけではなく、◯◯塗というブランドや価格でさえも信用ならないと言っても過言ではない漆器。知らないということは恐ろしいことです。話は変わりますが、先月あのF.O.B COOPが閉店しました。オーナーの益永みつ枝さんがインタビューで、「(お金を落とす場所を)ちゃんと選びなさいよ」。買わない権利ってスゴイのよ。唯一社会参加できること。(選挙で)一票投じるのと同じくらい意味があるんだから。きちんと美しく生活してほしい。とおっしゃっていたのに感銘を受けました。商売をしたことのある人なら誰でもが思うことかもしれませんが、弊店も、誰から何を買うのか自分の価値観をきちんと持ったお客様を大切にしたいと切に思っています。
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