「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、器、石油ストーブ、思いもよらぬモノ、など多数品揃え。商品の入荷案内を中心に古いものにまつわる話あれこれ綴ります…。猫を連れてのご来店大歓迎です。
なぜ「輪島塗」が良いのか?
個人的にも最も好きな「輪島塗」ですが、値段も高い。なぜ輪島塗だけがそんなに有名で高価なのか?

ちなみに「うるし」はアジア圏でしか採れないのですが、日本にはウルシノキが全国に分布しています。明治頃までは全国いたるところで国産漆が生産されていたのです。ということは、全国で漆器が作られていたということです。それが淘汰され現在は地域色を生かした産地別の○○塗り、○○漆器、という名称がついています。そのうちのひとつが石川県の輪島塗です。

輪島塗のよさを一言でいうなら、堅牢優美。その秘密は下地にあります。素地の木に「布着せ」という行程が入ります。傷みやすい角の部分などに補強のために木綿布や麻布を貼ります。そのほか、約36もの行程を踏んで「本堅地」という下地を施します。では輪島塗以外の漆器はどうなのかと言うと、本堅地を必須としてはいません。本堅地以外にも下地の方法は様々あります。見えない部分ですからコストを省くには最も有効な部分です。
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左は輪島の極上本堅地の判。包みの和紙に捺印があります。大抵は作った職人さんのフルネームも書かれています。自信の現れですね。右は輪島塗ではありませんが、各産地で塗師がそれぞれ工夫を凝らした下地を施していることが伺えます。

一番手間もコストもかかる本堅地で統一したことでブランドとしての価値を落とさなかったというのが輪島塗の強みでしょう。同じ県内に山中漆器がありますが、こちらは対照的に量産化の波に乗り合成漆器を主に作っています。全国的に百貨店で比較的安価に売られているのでご存知のかたも多いと思います。しかしそのような売り方ではやはり頭打ちになるのは必然ですから、良心的な生産者のかたがJOYマークと言うのを付けて本物の山中漆器を販売しています。

安価に作ることに重きを置かず技術を守ってきた輪島塗製品は本当に素晴らしいです。かつては本堅地の膳、椀などは一年がかりで作ったといいます。全国を地道に行商で受注販売したため、この博多の地でも蔵から出てくるのは輪島塗の漆器がとても多いのです。では、今回の漆器まつりでご用意している輪島塗り製品をご紹介して参ります。



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朱塗りの輪島塗屠蘇器。銚子はふたつです。輪島塗を代表する加飾方法、「沈金」で松竹梅が描かれています。濡れたようなとろみと艶のある塗は、大極上と呼ぶにふさわしいものです。セットで18,000円。


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輪島塗朱塗りの沈金で松の4段重箱は2種類あります。おなじ朱ですが色味も大きさも若干異なります。別の塗師の作なので絵柄の具合も異なります。


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輪島塗の黒地に牡丹沈朱の重箱。黒と赤の対比が印象的ですが非常に上品な柄付けです。この牡丹柄は非常に多用されるモチーフで銘々皿や茶托、蓋付お湯のみ、茶櫃もお揃いのものがあります。モチーフ自体は越前漆器などでも用いられますが、漆の質からいっても輪島塗のほうが格段に上質です。

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こちらはベークライト製ですが、おなじモチーフを使っています。かなり深い雑煮椀で具の多い地方の雑煮にはもってこいです。このように上塗の施されていない漆器風の器は、塗が剥がれるということもなく、もちろん丈夫ですのでわかっていて使う分には非常に便利だと思います。

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輪島塗の三方(さんぽう)。神道で神饌、つまりお供え物をのせるための台です。ため息の出るほどの美しい塗です。5,000円也。


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全くの無地の輪島塗の角盆。


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輪島塗の紅葉漆絵椀。
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同じく輪島塗の松漆絵椀。黒と朱の漆器を見慣れているかたには、緑や白などの模様が入っていると、???とお思いになるかたもいらっしゃると思います。漆はもともと無色透明ですから様々な顔料をいれることで思う色を作ることができます。最近では輪島塗の白い重箱などが百貨店で売られていますね。40万くらいしますけど…



一見してその価値がわかりづらい漆器ではありますが、輪島塗はやはり別格です。見るからに漆の美しさと気品が感じられます。これはひとえに「良い漆」にこだわった結果だと思います。

個人的にも気に入れば百貨店でお椀を買うこともあるのですが、もう何年も使っている大正時代のお椀のほうが艶が良いと感じることがあります。漆の質が落ちているんですね。本当に良い漆は使えば使うほど艶が増してきます。内側から光るような感じです。ところが質の悪い漆は曇ってくるんですね。丁寧に使い込んだとしてもだんだんと艶が落ちてくる。これはまた使わなければわからない問題ですが、今まで使ってきた中でも輪島塗のお椀は良い漆を使ってあるなぁと実感しています。今年は輪島塗の黒無地椀を300円からご用意しておりますので、まだの方は是非、輪島塗のよさをお試しくださいませ…
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