「古道具のささや」
福岡市中央区平尾の古道具屋です。antiqueからvintageまで、日本の古道具、家具、器、石油ストーブ、思いもよらぬモノ、など多数品揃え。商品の入荷案内を中心に古いものにまつわる話あれこれ綴ります…。猫を連れてのご来店大歓迎です。
「有田の三右衛門」
博多どんたくも始まりまして、連休も後半に入りました。弊店の第4回「和食器まつり」も好評開催中です。有田陶器市、波佐見の陶器まつりにお出かけになった後の〆にもどうぞ。漆器まつりもそうですが、在庫は来年に持ち越しませんので売り切り価格です。最終日まで随時値下げを断行してまいりますので、お友達などお誘い合わせのうえ何度でもお立ち寄りくださいませ…




本日は、器に興味のない人でも耳にしたことがある「○○右衛門」について。

磁器においてその中でも有名なのが、以下の3つではないでしょうか。余白を生かした赤絵が特徴的な、いわゆる「柿右衛門様式」を受け継ぐ酒井田柿右衛門(さかいだ かきえもん)。色鍋島の品格を再興した今泉今右衛門(いまいずみ いまえもん)。そして、ポップともいえる独特なパターンをインテリアやアクセサリーなどにまでも展開させた源右衛門(げんえもん)。この三つの窯元のことをあわせて「有田の三右衛門」と呼ぶことがあります。今回の和食器まつりでは、この3窯の製品も入荷しておりますので参考までにご紹介しておきます。(磁器だけでなく陶器も含めて広義の意味では、有田の柿右衛門と今右衛門そして唐津の中里太郎右衛門をあわせて、「佐賀の三右衛門」と著します。)





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まずは源右衛門から。有田の是米木(ぜめき)に築窯されてから約260年になりますが、昭和45年(1970年)になって、ヨーロッパを探訪した六代・舘林源右衛門が、現代の暮らしにフィットする源右衛門窯様式の「古伊万里」として新しい生命を吹き込み、みごとに復興。米国ティファニー社との共同開発など異業種企業との連携にも、着実な成果をおさめてきました。
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お部屋のインテリアに、陶板。
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ユーモアさえも感じられる抽象的なデザインは、源右衛門を知らない若い世代にもカワイイと好評です。ぼってり厚い使い心地は、ただでさえ強固な有田磁器のなかでも頑丈さで群を抜きます。
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猪口は300円から、小皿は600円から。デッドストック多数。






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そして今右衛門。

約350年の歴史を持つ鍋島(なべしま)焼ですが、これは佐賀の鍋島藩が磁器窯を作りそこで藩の特産品として大名家などへの献上品として焼かれたものを指します。そしてその鍋島焼の色絵の磁器を「色鍋島(いろなべしま)」と呼びます。その伝統は1871年(明治4年)の廃藩置県でいったん途絶えましたが、その技法は今泉今右衛門家によって近代工芸として復興されて現在に至っています。

夏になると歌舞伎でも上演される「番長皿屋敷」は広く知られていますが、お菊さんがお皿を割ったために手打ちにあう、という筋のお話です。そのお皿が鍋島なんですね。人の命と等価なくらいの高級品というわけです。

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上2列は源右衛門窯のものですが、一番手前は色鍋島です。今右衛門窯以外にも色鍋島を作っている窯はさまざまあり、技術的にも劣るものではありません。そのほか日用食器類、煎茶器のセットなどは柿右衛門窯のモチーフそのままに非常に高品質なものが揃います。
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そのほかにも、清潔な白磁が美しい梅型の大鉢(300円)と小鉢(200円)。中心には陽刻で花芯があります。モダーンデザインでありながら完璧な成形は鍋島ならではの品質です。








そして最後に柿右衛門。

伊万里で磁器が焼かれるようになった草創期は、朝鮮出身の陶工にまじって日本人もいたようで、その家柄の内の一つが酒井田家だと言われています。素地の白い余白を生かした柿右衛門様式ですが、酒井田家だけで作られていたものではなく、17世紀後半には赤絵町一帯で同じように作られていた色絵磁器の一様式であることが近年立証されました。箱書がされるようになったのは大正6年の12代柿右衛門襲名以降です。

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これはその12代柿右衛門の作品で地文龍画六角形香炉。複雑かつ入念な地模様と緻密に描かれた鳳凰と龍が染錦であらわされています。柿右衛門窯の技術の高さをうかがわせる作品です。

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こちらも12代柿右衛門とおぼしき、錦菊紋角皿5枚組。菊が丁寧な筆致で描かれています。清廉な白さは日常使いにも映えます。

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錦瓢文徳利は、13代柿右衛門作。

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仁和窯(にんながま)作品の柿右衛門様式の錦雅風絵酒杯。

こんにち、柿右衛門窯のものとは分別され小畑柿右衛門と呼ばれているものがあります。これは柿右衛門焼合資会社の作品のことですが、戸畑の実業家であった小畑秀吉と12代柿右衛門が大正8年に共同で作った会社です。多売を目的とした小畑の方針とそりが合わずにわずか8年で合資会社を脱退することとなりましたが、当時柿右衛門が用いていた裏印の「角福」銘は契約通り50年後の昭和44年まで用いられています。脱退後の柿右衛門は、裏印を「柿右衛門」銘に変えていますが当時は裁判沙汰ともなりました。この猪口は、合資会社が契約期限後に「仁和窯」と改称してすぐの作品です。繊細な白磁に緻密な色絵は格調高く、その他の量産品とは一線を画す優れた作品です。


ところで…陶芸家として知られる二宮都水と言う人がいますが、愛知県瀬戸市で生まれ東京や京都で技術を学び、その後香蘭社に入社して彫刻部を担当しています。さらに深川製磁に技術監督として入社し、大正10年には深川製磁から柿右衛門焼合資会社の工場長として引き抜かれ就任しています。有田、伊万里の陶磁技術は底のほうではつながっているんですね。








  第4回「和食器まつり」5月6日(日)まで開催中


有田・伊万里の磁器豆知識を踏まえたうえで、また違った目線で器選びを楽しんでいただければ幸いです。




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